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 エ ー ル イ ン タ ビ ュ ー : 日本バレーボール協会指導普及委員会副委員長 / GOLD PLAN副委員長 緒方 良


 コーチングするベースをきちっと整理して持っておけば、あとは自由でいいんです。

内藤 スポーツ指導者として、私も様々な年代や、体力、技術力の違う人達と接しています。
その時にどうしても、自らが教わった時の体感の記憶を元に教えてしまう傾向があると思います。『恵まれた素養を持つ元アスリート』がスポーツ指導者となる時の心構えや姿勢について、緒方さんはどのようにお考えでしょう。
 
緒方 コーチングするベースをきちっと整理して持っておくこと。
元アスリートでもそうでなくても、これだけ、というところをきちっと管理して持っておけば、あとは自由でいいんです。
バレーボールで言えば、「サーブ」「レセプション」「トス」「スパイク」「ブロック」「ディグ」の、6つの動作の基本を指導者は整理しておけばいい。
 
内藤 例えばその6つの動作のうちのひとつについて簡単にお話して頂けますか。
 
緒方 ではサーブを例に少し簡略化してお話しします。
サーブという動作の始点は『打つために構えた時点』、終点は『打ち終えてコートに戻る踏み出しまで』となります。
この始点と終点までの間で押さえるべきポイントは、構えとボールコンタクトの2点です。
そして構えにおいて見るべきは、つま先の方向と両肘の高さ。
ボールコンタクト時に見るべきは、やはりつま先の方向、それと手根骨か掌でヒットしているかどうか。
サーブという一連の運動を、構成する動作に分解してみると、基本として押さえるべきはこれだけです。

基本技術の構えや動作など、押さえるべきところを押さえてさえ、指導すべきポイントを把握しておきさえすればいいんですが、ただともすると、指導者が教えるべきポイントとそうじゃない部分が曖昧になりがちなんですね。
 


内藤 「教えるべき技術」と「教えてはいけない技能」というお話ですね。「教えるべき技術」は、バレーで言えば先程の6つのカテゴリに集約される。
 
緒方 そうです。「教えるべき技術」以外の質問、つまり「技術」の先の「技能」に関する質問にはサジェッションする。
こうしてみたら?という提案を示唆する。
基本技術は徹底的に反復させ、一方の技能については示唆する。
 
内藤 とても腑に落ちますし、身に沁みます。
最後にお聞きしたいのですが、ここまでお話頂いたような緒方さんの指導体系は、今後さらにブラッシュアップされていくのでしょうか。
 
緒方 アリストテレスが、動作には始点と終点があって、その間は合理的速やかに動かなくてはならない、と言っていますが、スポーツの動作においてはこの概念が重要です。

合理的速やかに動作を完了させるための情報が更新されれば、私のいまの体系も変わっていきます。
いま解明されている医学やスポーツ科学、コーチング理論などを、私はバレーというカテゴリに応用しているのですが、その情報の更新は永遠に続くと言ってもいいと思います。 スポーツの最中に、昔は水を飲むな、今は水を飲めと変わっているように、他分野での解明が進むとともに変化するでしょうね。
 
内藤 私達もまだ緒方さんの指導体系の概要に触れただけで、実践はこれからだと思っています。
今後ともたくさんのことを学ばせて頂けたらと思います。
本日はスポーツ指導者として、とても有意義なお話を伺えて大変に刺激的でした。まことにありがとうございました。
 


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